forthcoming と聞いていたが出版されていた.
Received Jun. 20, 2015 / Accepted Jul. 2, 2016
これ評論にしては比較的掲載まで短かいような(スッゴイ).

本論は,「ブール代数分析による社会的カテゴリー分析」の枠組みを用いて,2013年に実施されたインターネット調査により,人びとのナショナル・アイデンティティを「日本人の条件」として把握し,その様態と社会的属性との関連を分析することを目的とする.具体的には,国籍・在住・血統・言語の4条件の組み合わせによる16パターンのプロフィールを回答者に提示し,「日本人」だと思うか否かの2値評価を求め,関連する意識や属性・社会経済的地位などの要因との関連を探った.
分析の結果,以下のことが明らかになった.まず,回答者のイメージを統合した統合イメージについて分析した結果,基本的に血統を必要条件とする条件組み合わせで構成されていた.次に,背後にある意識が日本人判断にどのように関連しているかを分析した結果,国に対する誇りの高さは「血による包含」と,排外主義は「血による排除」と,同化主義は「文化による排除」と強く結びついていることがわかった.最後に,地域社会における外国人との接触経験や,年齢の若さや学歴の高さといった外国人への寛容性と関連する属性・地位要因が,異質性に寛容的な国籍拡張型のイメージの可能性を高め,同質的に寛容的な血統主義的な国籍拡張型のイメージの可能性を高め,同質性に寛容的な血統主義的なイメージ拡張の可能性を低めることが確認された.

石田淳,2016,「『日本人』の条件――インターネット調査データを用いた社会的カテゴリー分析」『社会学評論』67(2): 182-200.

1 目的
2 方法
2.1 調査概要と測定法
2.2 ブール代数分析
3 統合イメージの分析
4 ナショナル・アイデンティティの背後にある意識
5 個人イメージの分析
5.1 出現パターン
5.2 国籍拡張条件イメージ,血統拡張条件イメージ
6 結論

私のARTEMIS計画(「大人」の条件)は頓挫しております.嗚呼.