離家のメジャーメントについてのもろもろメモ(100年後の家族社会学者へ).

データの向こうに社会が見えるぞお.離家を測定するのってけっこう難しいんだよ.JAMS61でいいたかったのはたぶんそのへん.ただまあ,測定云々はもちろん大事だけど,どうも野望に欠けるんだよな.

分析ありきではじめるからこういうことになりがち.ISSUE DRIVEN.あるいは,この手の倒錯した作業(パッケージング?)の練習しないと,アイデアもへったくれもない.

NFRJ委員会殿,わたくし,離家関連のクリーニングノーマネーでやりますので,なにとぞよろしくお願いします.

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NFRJ98調査票

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NFRJ08調査票

第1次クリーニングでは初離家年、初就職年、結婚 ・出産によるライフコースの変化、親 との居住歴、義父・義母の死亡年などの項 目に少なからぬエラーが検出された。この原因は、 回答者が 「親元」「仕事」などの意味を多義的に解釈 していることに起因するように思われた。

稲葉昭英,2000,「データクリーニングの概況」日本家族社会学会全国家族調査 (NFR) 研究会編『家族生活についての全国調査 (NFR98) 報告書 No.1』109-114.

3 データ管理の問題

3.1 信頼性・妥当性の情報

NFRJ98では学会が責任主体であるという性格上、調査企画に関心をもつものを学会員から募り、研究会を組織し、調査票に掲載する項目の検討を行った。

このように、多数の人間が項目の希望をだしあって調査票を作成するという作業は、当然のことながら効率よく遂行することは難しく、時間をかけても「誰もが満足する」形をとることは難しい。しかし、ここで問題にしたいのはむしろ最終的な調査票の適切性に関する情報、つまり信頼性や妥当性に関する情報である。

NFRJの調査票はいわゆる専門家が中心となって調査項目の選定を行っているが、実査を終了してみるとやはり適切とはいえない項目が含まれていることが判明する。おそらく、これはNFRJに限らないことだろう。「問題がある」と判断できるひとつの基準は、データ・クリーニングの際の論理エラーの多さである。筆者はNFRJ98のクリーニング作業にも従事したが、出産・育児退職を中心とした職業移動に関する項目や、離家にかかわる項目はこうした疑問を感じさせるものであった。

問題は、このような「疑問項目」に関する情報が必ずしもデータ利用者全員に行き渡らないという点である。そもそも、疑問項目が調査票上に含まれていること自体が調査の威信を損ねるものであるから、こうした情報を出すことのほうが希であるといえる。

一方、こうした情報が提示されなければ、データ利用者は項目を疑うことなく使用する。ましてや、学会が責任主体となっている大規模調査であれば、こうした疑いが持たれること自体難しいのかもしれない。さらに、博士号取得などの資格要件を満たすために短期間でデータの分析を終了し、成果を投稿しなければならない研究者も多く、そうした場合には分析に使用する変数の細かな検討まで行わないことも多い。

概して項目の信頼性や妥当性が検討されるのは合成尺度としての使用が想定される項目群についてであって、属性に関わる項目や尺度化が想定されていない個別項目についてはそこまでの検討がなされないことが多い。また、こうした項目に関してデータ利用者が分析の過程で疑問を感じた場合でも、その情報がデータ管理者にまで届くことは少ない。

稲葉昭英,2005,「社会調査および公共利用データをめぐるいくつかの問題――全国家族調査(NFRJ)からの問題提起」『中央調査報』572.

NFR03実行委員長殿
2002年9月5日
NFR98検討研究会世話人 稲葉昭英・西野理子

NFR98検討研究会で行われたNFR98調査票に対する問題点の検討結果について、最終報
告を以下に提出いたします。

NFR98検討研究会最終報告
――NFR98検討研究会における成果のまとめ――

A.各質問項目に対する検討結果概要

Q7 「親元」、「離れる」の定義の明確化
(進学・就職・結婚・兵役に限定する、などの操作化の必要)
→ 疎開、他家への養子、などは離家?
→「親元」は同居?近居も含む?
Q7 初離家年月→ 月無回答数が多い(月は満年齢換算時に利用されているが)
Q7 初離家年月→ 年齢/元号形式の併用法の再検討、エディティング方法の改善の可能性

Q7 初就職時期 → 月無回答数が多い(月は満年齢換算時に利用されているが)
Q7 初就職年月→ 年齢/元号形式の併用法の再検討、エディティング方法の改善の可能性

稲葉昭英・西野理子,2002,「NFR98検討研究会最終報告」『NFR98検討研究会 ニュースレター No. 7』

つぎに、別居世帯員として示された人々(計 1021 名)について分析してみよう。まず、これらの 人々の年齢別度数分布のグラフを図1に示す。レンジは 0-98 歳と広く、平均は 33.20 歳、標準偏差 は 10.08。分布自体は 18 歳から急増し、22 歳くらいまで高い値を示しながら、その後はゆるやかに 減少していく。この傾向は 30 代から 40 歳くらいまで続き、40 代以降の分布は少ない。この 20 代 における「別居世帯員の減少過程」は、「別居世帯員」から「別世帯員」への移行を示すものであり、 社会学的にはきわめて興味深い。経済的自立や、結婚によって、次第に彼ら/彼女らは「一時的に 別居している」存在から「完全に別居している」別世帯の人として認識されるようだ。

稲葉昭英,2006,「一時的別居世帯員の構造」西野理子・稲葉昭英・嶋崎尚子編『第2回家族についての全国調査 (NFRJ03) 第2次報告書 No. 1: 夫婦,世帯,ライフコース』153-165.

稲葉昭英,2009,「一緒に住んでいる人・いない人」藤見純子・西野理子編『現代日本人の家族――NFRJからみたその姿』有斐閣.

松田茂樹,2010,「データクリーニングの概況」日本家族社会学会全国家族調査委員会編『第3回家族についての全国調査 (NFRJ08) 第一次報告書』213-228.

Johann Hari (2015) “Everything you think you know about addiction is wrong”

三田の HUB。お姉さんにいい感じにノンアルカクテル作ってもろた。禁酒33日目